No.7 自己破産申立 ⇒ 財産が99万円を超えていても,管財事件とならなかった事例。

<事案>

Gさんは,当初結婚していた妻と離婚する際に,妻が破産することとなったため,妻のローンで保証をしていたGさんも破産せざるをえなくなりました。

しかも,Gさんの資産には,住宅ローンで購入した家や,保険の解約返戻金が約130万円ありましたので,管財事件となる可能性が充分ありました。

しかし,Gさんには,今回の破産手続に必要なお金(破産申立費用)や,不動産を処分した後の転居にかかる費用,滞納している固定資産税等の公租公課の支払い,その他生活上必要不可欠なやむをえない支出(「有用の資」があったため,これらの費用を保険の解約返戻金から充てなければなかったため,実質的な保険の解約返戻金の資産性の評価が下がることとなり,管財事件でなくとも同時廃止事件で破産申立てをすることとなりました。

 


<解決に至るまで>

Gさんの負債は,妻のローンの保証をしていた債務と住宅ローンの残債務が大半を占めておりましたので,Gさん自身の実質的な債務は約100万円程度でした。

Gさんの資産については,預貯金,保険,車,家といったものがありましたが,預貯金については現金と合わせて99万円以下であったところ,保険については解約返戻金の合計額が約130万円ありました。車は査定をとったところ約15万円と評価され,家は固定資産評価額の3倍以上のローンが残っていたため,いずれも資産性は無いと判断されることとなりました。

したがって,Gさんの資産のうち,保険だけが同時廃止事件の要件(保険,車等の各財産の項目で評価額がいずれも20万円以下であり,そのすべての金額が99万円以下であること)に当てはまらないこととなってしまったため,管財事件となることを想定していました。

しかし,Gさんは,この解約返戻金のうちから「有用の資」として支出をしなければならない事情があったため,約110万円以上の支出を差し引いた金額が20万円以下であることを理由付けし,同時廃止事件の申立てを行うこととなりました。

破産申立後は,裁判所から返戻金の使途について詳細の事情を報告し,認められなかった支出分については保険としての評価額に加算され,結果として基準額(20万円)を超えることとなってしまいましたが,同時廃止の決定のための按分弁済費用を積み立てて裁判所へ納付することにより,無事同時廃止の決定が下り,免責されることとなりました。

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