家を残して債務整理をする4つの選択肢

家を残して債務整理をしたい方へ

弊事務所では、日々、債務整理を希望する方からのご相談をお受けしております。相談者の方の多くがおっしゃるのが「なんとか自宅を残したまま借金問題を解決できませんか
ということです。

多くの方がおっしゃる、「家を残したい」という希望なのですが、実はとても難しいことなのです。
というのも、債務整理の主な方法として「自己破産」がありますが、破産手続きとは

「私が今持っている全ての財産を換金しても借金を返せません。なので、今ある借金をなくしてください」

という趣旨のものです。
自宅という資産だけ残したまま、「全部換金しても借金が返せません。」という主張はできません。よって、家を残して自己破産をする、という希望はほとんど叶えられないのです。

しかし、家を残して借金問題を解決する方法が全く無いわけではありません。今回説明する4つの方法は、家を手元に残しながら債務整理をするものです。

ただし、全ての方に家を残す方法をご提案できるわけではありません。
事態が深刻な状況になってから「なんとしても家を残したいです」とご相談いただいても、他に方法がなく、破産しかご提案できない可能性もございます。
幅広い選択肢をご提案し、その中から最適なものを選んでいただくためには、「少しでも早く相談いただくこと」がとても重要なのです。

この記事では、弊事務所がご提案可能な「家を残して債務整理をする方法」を4つご説明します。

4つの選択肢

弊事務所でご提案できる方法としては以下の4つがあります。

①個人再生(住特条項付)
②任意売却(親族間売買)
③任意売却(リースバック)
④経営者保証ガイドライン

①については裁判所を通すやり方ですが、②~④に関しては裁判所を介しません。

それぞれくわしく説明します。

個人再生(住特条項付)

個人再生では、債務者が自ら再生計画と呼ばれるものを作成し、それを裁判所に提出します。裁判所から、その再生計画について認可を受けられれば、借金を大幅に減額することが可能です。

自己破産の場合は、裁判所から免責決定を受けると、全ての借金において支払の義務がなくなります。
一方、個人再生では、本来の借金から減額された額を3年程度かけて返済していきます。

個人再生のなかでも、住特条項と呼ばれるものを利用すれば、家を残したまま債務整理が可能です。
住特条項の正式名は、住宅資金特別条項といいます。また、別名を住宅ローン特例といいます。どちらかというとこの別名の方が有名かもしれません。

住宅ローン特例とは、簡単に説明すると、「住宅ローンを従来どおり支払い続けるかわりに、自宅を処分しなくても済む」というものです。
つまり、住宅ローン以外の借金については個人再生で減額しますが、住宅ローンだけはこれまで通り支払うのです。

実は、住宅ローン以外の借金は大幅な減額や分割払いが認められやすいのです。
そのため、住宅ローン特例を使うことで、かえって全体の債務整理そのものがスムーズに進むこともあります。

任意売却(親族間売買)

任意売却とはローン会社(金融機関)との合意を得て自宅を売却する方法です。主に、オーバーローン(売却したお金を全額返済に充てても、ローン残高が残ってしまう状態)となった住宅を売る場合に用いられます。

債権者(ローンを組んだ銀行など)は、住宅ローンの延滞が続いている人に対して、担保となっている住宅を売却してでもローン返済をするように求める権利があります。
このように、強制的に担保である家を売ることを「競売」と言います。住宅の所有者が売却を拒んでも競売は止まりません。所有者の同意は必要ない手続きだからです。

そのため、ローン返済が滞り、競売された方は「家を取られた」という気持ちになり、大きな精神的ショックを受けることとなるのです。

一方、任意売却は、所有者自らの意思で自宅を売却する方法です。強制的な売買ではないので、売却額の中から引っ越し費用を捻出したり、自宅を出るタイミングを自分で決められる場合もあります。

任意売却には、競売手続きが途中まで進んでいる場合でも、手続きできるというメリットがあります。
ただし、途中まで進んでいる競売手続きが止まるわけではありません。すでに競売手続きがはじまっている場合に任意売却をする場合は、競売が完了するまでに任意売却を完了させないとなりません。その点ご注意ください。

任意売却の中でも、親族間売買という方法であれば、自宅を売却してもそのまま住み続けることができます。
親族間売買とは、本来の任意売却では第三者(投資家など)に物件を売却する所を、親族に売却するというものです。

物件自体の所有権は購入した親族に移りますが、了承を得られれば、引っ越すことなくそのまま住み続けられます。
住む方法も、家賃を支払う/無償で借りる のどちらでも可能です。

ただし、この親族間で売買する方法には以下のデメリットもあります。

・経済的に余力のある親族がいるとは限らない
・購入者が親族であれば、債権者の目が厳しくなる

まず、物件の購入にはまとまったお金が必要です。大きな額を出す経済的余裕のある親族が、周りにいるかというのが問題になります。

また、購入者が親族である場合は、債権者(ローンを組んだ銀行など金融機関)は、売却価格に特に厳しい判断をします。
任意売却は債権者からの合意が必要ですので、債権者が是と言わなければ手続きが前に進まなくなってしまうのです。

任意売却(リースバック)

リースバックの正式名称は「セールス&リースバック」です。直訳すると「賃貸契約つきの売却」です。

親族売買の項目でもお話しましたが、本来任意売却とは「投資家が投資目的で住居を購入する」ものです。
リースバックとは、その新しく家の所有者となる投資家と賃貸契約を結び、家賃を払いながら元の家に住み続けるという方法です。
この方法も親族間売買と同じく、自宅の所有権は手放さなくてはなりませんが、引っ越しの必要はありません。以前のまま自宅に住み続けることができます。

リースバックには、「自宅に住み続けられる」というメリットの他に、「買い手がつきやすい」というメリットもあります。
というのも、任意売却で物件を買う投資家は、購入後の家賃収入が目的です。ただ、物件を購入したものの、誰も住まないという「空室リスク」があります。投資家にとって、空室リスクは何よりも避けたい問題です。
しかし、リースバックであれば元所有者が住み続けることが決まっています。投資家は、空室期間を経ることなく家賃収入を得られるのです。
よって、リースバックであれば買い手がつきやすくなるのです。

さらに、最初の売却時にルールを定めておいて、後で自宅を買い戻せるケースもあります。

しかし、リースバックには以下の2点のデメリットがあります。

・毎月の家賃支払いが負担となる
・居住ルールは、所有権を持つ買い手が決める

まず、家賃の問題についてです。リースバックにおける賃貸契約は、一般的な相場よりも高めの家賃が設定されることが多いのです。よって、家賃が今後の負担となる可能性があります。

さらに、居住におけるルールは所有権を持つ買い手が決めます。これまでと全く同じとはいかない可能性があるのです。

経営者保証ガイドライン

会社を経営している方が破産をする際に検討すべきなのが、経営者保証ガイドラインを活用する方法です。

そもそも経営者保証とは、中小企業の経営者が金融機関からお金を借りるときに、経営者本人やその家族が保証人となることです。
経営者保証は、経営者に対して大きな負担をかけ、中小企業の発展を阻害する要因となっていました。
よって、より円滑な中小企業の発展を促すために、経営者保証ガイドラインが定められました。

経営者保証ガイドラインには、

(1)法人と個人が明確に分離されている場合などに、経営者の個人保証を求めないこと
(2)多額の個人保証を行っていても、早期に事業再生や廃業を決断した際に一定の生活費等(従来の自由財産99万円に加え、年齢等に応じて約100~360万円)を残すことや、「華美でない」自宅に住み続けられることなどを検討すること
(3)保証債務の履行時に返済しきれない債務残額は原則として免除すること

が明記されています。(出典:中小企業庁HP

(2)には、「華美ではない」自宅に住み続けられることなどを検討すること、という文章があります。
経営者保証ガイドラインを上手に活用すれば、中小企業経営者は、自宅を残しながら債務整理を行える可能性があるのです。

経営者保証ガイドラインについては、弊事務所が運営する法人破産の専門サイトでより詳しく説明しています。
こちらの「経営者保証ガイドラインについて」の記事を参考にしてください。

借金でお悩みなら弊事務所へご相談ください

この記事では、家を残して債務整理をする方法を説明してきました。
これら4つの方法に共通しているのが「早めの相談が鍵」ということです。

弊事務所には多くの債務でお悩みの方が来られますが、その方の多くがギリギリまでご自身で悩まれてから来所されます。
その場合、事態がかなり悪化しており、弁護士も「自己破産」しかご提案できない場合があります。

ご自宅を残したいと思っておられるのであれば、より早めに専門家に相談されることが重要です。
弊事務所では、債務整理に関するご相談は無料でお受け付けしています。どうぞお一人で悩まずに、お気軽にご連絡ください。

連絡先は下記バナーをご確認ください。

0120-115-456 受付時間 9:00〜18:000