2回目の個人再生は可能、パターン別に対応策や注意点を解説
「過去に個人再生をしたがまた借金で困っている」、「個人再生中に返済で行き詰まっている」という方が、もう一度個人再生をすることは可能なのでしょうか。
結論から申し上げると、「2回目の個人再生は可能」です。
ただし、その方の状況によって、2回目の個人再生における注意点や対応策が異なります。
この記事では、いくつかのパターンに分けて、2回目の個人再生について検討していきます。
今回とりあげるのは、
・2回目の個人再生を行う場合
・個人再生中に返済で行き詰まった場合
・過去に債務整理をして2回目に個人再生を検討している場合
の3つです。
2回目の個人再生をする場合
このパターンは、過去に一度個人再生をして再生計画通り借金を完済したあと、もう一度借金で困ってしまい個人再生を希望する場合です。
これに該当する方にまず確認していただきたいのが、前回の個人再生がどのような手続き方法だったかです。
個人再生には、
・給与所得者等再生
・小規模個人再生
の2つの手続きがあります。
小規模個人再生の方が、個人再生における基本類型だと言えます。民事再生法で定められた基準に従って債務額が減額されるのです。
その代わり、債権者の消極的同意(異議を述べていない状態)が必要です。
一方、給与所得者等再生の場合、債権者の消極的同意は不要です。異議を唱えてくることが見込まれる債権者がいる場合、こちらの方法で手続きするケースが多いです。
その代わり、小規模個人再生に比べて、減額幅が小さくなるというデメリットがあります。
1回目の個人再生が小規模個人再生だった場合、2回目の個人再生に関して大きな制限は生じません。
小規模個人再生は、認可を得るために債権者の消極的同意が必要です。よって、小規模個人再生における再生計画案には、債権者の意向が反映されています。
一方、1回目の個人再生が給与所得者等再生であった場合、前回の個人再生から7年間を経過していないと再度の給与所得者等再生の利用は認められません。
給与所得者等再生は、その特徴として債権者の同意なく債務の減額が可能です。つまり、再生計画に債権者の意向が盛り込まれていない可能性があります。
よって、債権者保護のためにも、前回から7年間は再度の手続きができないという縛りが設定されているのです。
※注意点
前回の個人再生から7年間とは、再生計画認可決定確定の日から7年間を指します。
ただし、前回から7年以内であっても、今回申し立てるのが小規模個人再生であれば、再生計画案に債権者の意向を盛り込むことができるため可能となります。
下記の表は、1回目の手続きと2回目の手続きの種類別に、制限があるか否かをまとめたものです。
1回目の手続き → 2回目の手続き | 制限 |
小規模個人再生 → 小規模個人再生 | 制限なし |
小規模個人再生 → 給与所得者等再生 | 制限なし |
給与所得者等再生 → 小規模個人再生 | 制限なし |
給与所得者等再生 → 給与所得者等再生 | 前回手続きから7年間不可 |
個人再生においては、多くの方が小規模個人再生を活用されます。弊事務所でも、小規模個人再生の手続きをされる方の方が多いです。
そのような場合には、2回目の個人再生であっても制限なく手続きが可能です。
前回、給与所得者等再生を活用した方であれば、場合によっては手続きに制限がある可能性があるので、弁護士など専門家に一度相談されることをおすすめします。
2回目の個人再生における注意点
前回も個人再生による債務整理を行い、もう一度個人再生を行うのであれば、以下の点に注意が必要です。
・1回目よりも2回目の方が、裁判所の調査が厳しい
・1回目と同じ再生計画案は、認可されない恐れがある
・債権者に拒否されやすくなる
まず、1回目よりも、2回目の個人再生の方が裁判所から厳しく事情を聞かれます。より調査に時間がかかりますし、再生者にかかる負担も増える傾向にあります。
また、1回目と同じ再生計画案を提出しても否決される恐れがあります。裁判所の認可がないということは、再生手続開始申立の棄却事由や廃止決定事由に当てはまりますので注意が必要です。
そして2回目の個人再生となると、1度目は同意した債権者であっても、もう一度同意が得られない可能性があります。
不同意回答をした債権者から借りている借金の額が、全体の借金の半分以上である場合は、小規模個人再生ができなくなります。
個人再生中に返済で行き詰まった場合
個人再生手続きでは、再生計画に基づいて、減額された借金を分割で返済していきます。
再生手続前に比べて月々の返済負担は軽減されますが、それでも予期せぬトラブル(病気や失業、家族の介護等)によって、返済が行き詰まることがあります。
返済中に滞納した場合には、裁判所の判断で再生計画の認可が取り消される可能性があります。
再生計画の認可が取り消されると、借金減額などの効果も全て取り消しとなり、個人再生手続き前の状態に逆戻りになります。
債権者から一括で支払うよう求められたり、民事訴訟や強制執行を受けるリスクも出てきます。
では、返済途中に支払いに行き詰まった場合、どのように対処していく必要があるでしょうか。
主な選択肢として、
・再生計画を変更する(リスケジュール)
・自己破産の手続きをする
というものがあります。それぞれ説明します。
再生計画を変更する(リスケジュール)
失業や病気など収入が減ったり、家族の介護など急な支出があったりなど、やむを得ない理由で返済が難しくなった場合は、再生計画の変更手続きをすることが考えられます。
再生計画のリスケジュールを裁判所に申し出れば、最大2年間返済期間を延長できます。
再生計画どおりの返済が難しいと思ったら、早めに裁判所に申し出なければなりません。
何度も滞納してしまうと、上記で説明したように再生計画の認可が取り消される可能性があります。
自己破産の手続きをする
再生計画のりスケジュールを行っても返済が難しい場合は、自己破産の手続きを検討することになります。
実は、個人再生においては、返済を完遂する直前になってやむを得ない理由により返済が出来なくなった方向けに「ハードシップ免責」と呼ばれる制度があります。
それまでに計画返済額の3/4以上を返済している方向けに、例外的に残りの債務の支払いを免除するというものです。
しかし、このハードシップ免責が実際に認められる例はとても少ないです。
よって、結果として、リスケジュールで対応しきれない場合は自己破産を申立てることが基本です。
過去に債務整理をして2回目に個人再生をする場合
過去に一度債務整理をして、2回目の債務整理として個人再生をしたい場合はどうでしょうか。
個人再生→個人再生の場合については、冒頭で説明しましたので、ここでは
・任意整理→個人再生
・自己破産→個人再生
のケースについて説明します
任意整理→個人再生の場合
基本的に任意整理を行ったあとに個人再生を行う場合は、法的な制限はありません。
任意整理をしていたからといって、個人再生の手続きに悪い影響があることは基本的にはありません。
ただし、注意しておかないといけないのが、前回任意整理をした債権者と同じところから借金をして個人再生を申し立てる場合です。
その債権者にしてみれば、同じ人から2度も債務整理をされたことになります。
心象が悪くなり、個人再生での再生計画案に同意がもらえないリスクがあります。
自己破産→個人再生の場合
このケースにおける個人再生の申立ては、前回の債務整理が給与所得者等再生だった場合と同じ制限を受けます。
よって、前回の自己破産の免責を受けた日から、7年間は給与所得者等再生の手続きができません。
ただし、小規模個人再生をする場合はこの制限がありませんから、免責を得た日から7年以内であっても個人再生手続きを申し立てられます。
自己破産→個人再生 というケースは、2回目の自己破産をしたい人が、破産法の定める制限に該当してしまい、もう一度自己破産をできない場合に取る手段として使われます。
2回目の個人再生を検討しているなら弊事務所へご相談を
2回目の個人再生を検討しているのであれば、弊事務所へご相談ください。
いくら法律的な条件はクリアしているといっても、個人再生や債務整理が2回目となると、債権者や裁判所は厳しい目を向けてきます。
1回目よりも、手続きに時間がかかったり、より多くの説明を求められたりする可能性があります。
弊事務所には、債務整理手続きの経験豊富な弁護士が多数在籍しております。
弁護士を代理人として契約いただくと、複雑な手続きをあなたの代わりに弁護士が行います。
債務整理に関する相談は無料でお受け付けいたします。
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