No.65 債務整理 ⇒ 任意整理
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<事案>
亡き夫の債務について、借入残債務がいくらあるか、債務名義が取得されているか、最後に返済したのがいつかなどが明らかでなかったところ、亡き夫には債務と共に、自宅不動産の2分の1共有持分というプラスの財産があったため、妻である依頼者様がこれを相続して、自宅に住み続けられるように、相続放棄という方法ではなく、債権者らに対しまずは時効援用を行い、時効が中断しているなどして時効援用できない債権については任意整理をするとの方針を立てた事案。
<最終的な結果>
債権者は合計で4社あったところ、4社に対して消滅時効を援用する旨の内容証明郵便を送付したところ、そのうちアイフルのみ、特段債務名義を取得したなどの事情もなく、時効が成立し、債権放棄の手続きが取られました。これにより、約25万円の債務を免れることができました。
しかしながら、残り3社(アコム、日電社、保証協会債権回収)については、亡き夫が生前に、裁判所の判決などの債務名義を取得されていることが明らかになり、遅延損害金を含めると、合計で680万円の債務があるとのことでした。債務名義が取得されてから、長いものでも数年しか経過していなかったことから、依頼者様としては、破産手続も検討事項の一つではありましたが、所有する又は相続することになる自宅不動産の価値はこれを上回るものであったため、自宅を手放さない限りは破産手続を選択することができず、また相続財産たる自宅不動産共有持分2分の1があるため相続放棄も選択できませんでした。そこで、依頼者様は、子らの援助も受けて、何とかこの膨れあがった借金を長期分割又は遅延損害金等をカットした一括返済などの方法で弁済する途を模索することにしました。いずれの債権も、亡き夫が最後に返済をしてから相当期間が経過していたこともあり、遅延損害金が多額にのぼっていたため、これをカットしてもらうことを狙って、元金の一括返済を提案しました、すると、特にアコムについては(平成24年頃借入開始であり過払金なし)、元金と遅延損害金をあわせて合計約172万円であったものが、元金一括という条件で約96万円にまで減縮され、また保証協会債権回収については(最終弁済が平成13年であり過払金返還請求権が時効消滅している)、元金と遅延損害金をあわせて合計約486万円であったものが、元金一括に若干の遅延損害金を加えて、元金約138万円に対し、遅延損害金も含めて合計160万円を一括返済することで、亡き夫の債務についてすべて解決したこととするという和解を交わすことができました。 最終結果として、4社合計約805万円の債務が、3社合計約280万円にまで減額されることになりました。
<解決ポイント>
任意の交渉方法次第で、残債務額がいくらになるかが試される事案でしたが、一括返済可能な状況を準備し、債権額と照らし合わせて順に和解提案をしていくことで、考え得る限りかなりの遅延損害金カットを実現できました。債務額が大きく減ったことについて、依頼者様にもご納得いただける結果となりました。
【用語解説】
消滅時効
権利を行使しない状態が一定期間続くと権利を消滅させる制度(民法167条)。
貸金業者の債務は、最終の弁済から5年間の経過で消滅時効完成となる(商法522条)。消滅時効完成後、援用することで遡及的に債務が消滅する。なお、消滅時効援用は、 後日の証明のため、内容証明郵便でされることがほとんどである。
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